我が国では、昔から様々な木造建築物が作られてきました。
近年、樹木が地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出抑制の効果があることが知られ、人と環境にやさしい資材として見直され、積極的に木材を使う方が増えています。
これまで木材が活用されてきた住宅などの低層の木造建築物だけでなく、3階建て以上の非住宅建築物でも、積極的に木材を活用することが求められています。一層増えるであろう非住宅建築の木造化に伴い、JAS材の活用は避けては通れないと思われます。
JAS材とは、1本ずつ検査された木材に、樹種、寸法、含水率、強さ、製造業者名などの品質・性能が表示された木材のことです。
現在、木造建築の95%以上はプレカットによる木材加工によるものです。これまでの木材加工は、大工さんが木材品質を判断して加工されていましたが、材木屋から直接プレカット工場に持ち込まれ加工するため、プレカット加工する技術者の木材の品質管理や組み立て方の良し悪しが今後の先進的な木造建築には不可欠であると言われています。
そこで、昨日の木構造授業「構造設計1」にて、2025年4月から始まる大阪・関西万博2025の会場に建設された大屋根(リング)の加工に関わる愛媛県新居浜にある三王ハウジング秦社長、その木材加工ソフトウェア「CADWORK」を販売サポートしている三重県伊勢市にある株式会社鈴工の山口氏をお呼びし、建築関係者が設計で扱うBIMソフト「ARHICAD」「REVIT」からデータ変換し、複雑な木構造を実現し、設計サイドが思い描く空間づくりのための技術的な講義を受けました。
鉄骨のような溶接によって構造体を組み立てるのではなく、木材の場合は、切削加工によるパーツづくりになるため、ソリッドモデルとして、柱、梁などの部材の組み立て方を考えながら設計することが重要であることを知りました。
今後、建築設計したBIMデータを、わが校に貸与して頂いた「CADWORK」を使いながら、レシプロカル構造のような複雑な加工設計が出来るような講義を計画したいと考えています。(三浦)